こんにちは、Akiです。
今回は、通訳ガイドとして求められる知識を得る手段の一つである「本」について話をしてみたいと思います。
通訳ガイドに求められる知識
通訳案内士または通訳ガイドとは、外国人のお客様に日本旅行における案内をする仕事です。
日本政府観光局(JNTO)のホームページでは、以下のように説明されています。
<全国通訳案内士>
日本政府観光局(JNTO)ホームページ
全国通訳案内士は、通訳案内士法において「報酬を得て、通訳案内(外国人に付き添い、外国語を用いて、旅行に関する案内をすることをいう。)を業とする。」とされています。全国通訳案内士は国家試験に合格した方であって、高度な外国語能力や日本全国の歴史・地理・文化等の観光に関する高い知識を有するものであり、「全国通訳案内士」として都道府県の登録を受けた方々になります。
(中略)
全国通訳案内士(通訳ガイド)は、単に語学力が優秀であるだけでなく、幅広い知識、教養を持って日本を紹介するという重要な役割を負っています。外国人旅行者に日本の良い印象を持って帰ってもらうことは、正しい日本理解の第一歩となり、全国通訳案内士(通訳ガイド)の仕事は、“民間外交官”とも言える国際親善の一翼を担うやりがいのある仕事です。
上記にあるように、通訳ガイドとして仕事をするためには、日本の風土・歴史・文化・慣習・社会・食などについての幅広い知識・教養が求められます。
これらの知識は、国家試験である全国通訳案内士試験に合格するために、一定レベルのものが求められますが、実際にガイドの仕事を行う上では決して十分なものではありません。
これは私だけではなく、多くの通訳ガイドが感じていることのようですが、ガイドの仕事をはじめてみると、通訳案内士試験の知識だけでは不十分で、学ぶべきことが果てしなくあるように思えてしまいます。
ガイドの現場では、お客様に対して表面的な説明だけではなく、より深いレベルの解説が求められる場面が多くあります。
特に少人数のお客様の場合は顕著で、お客様の「Why?」に対して満足のいく説明ができるように、普段からたくさんの引き出しを持っておく必要性を感じます。
知識と実践でガイド力を高める
そこで通訳ガイドには日々、自己研鑽によってこれらの知識を身につけ、教養を深めることが求められます。
その方法は、通訳ガイド団体などが実施する各種研修や、ネット上の情報収集などもありますが、手軽に、そしてより深い知識を身につけるために「本」はとても有効な手段であるといえます。
研修は特定のテーマの内容を短時間で学べる、というメリットがありますが、時間が限られるためにどうしても広く浅くなりがちです。私は、研修はあくまでそのテーマを学習するための手掛かりを得る手段と考えています。
ネットは、必要な情報をすばやく知ることができるという点で優れていますが、ひとつひとつの情報が断片的で短く少ないものが多く、深い知識を得るためには不十分です。また、提供されている情報の信頼性という点でも注意が必要です。
一方、本は出版社が選んだ信頼できる著者が持つ、専門的知見が体系的・網羅的に集約されていて、その本が扱うテーマについて効率よく知識を得ることができます。
また、幅広いテーマを広くカバーしたものから、専門的な分野を深く掘り下げたものまで、さまざまな種類の本があり、自身のニーズに合わせて自分のペースで学ぶことができます。
学びたいテーマを研修やネットでその手掛かりとなる情報を得て、本によってさらに知見を深めるといった組み合わせが、最適な学習方法ではないかと思います。
もちろん通訳ガイドにとっては、ただ知識を蓄積するだけでは十分ではありません。
ガイドの現場でその知識をアウトプットすることで、確実に自分のものとしていくことが重要です。
ガイド時に案内する場所や内容に関する知識があることはもちろんですが、現場を下見し、説明内容をシミュレーションしてみると、あらたな疑問がわいてくることと思います。
自分が疑問に思うことの説明は説得力を伴わないので、その疑問を解消し、自分が腑に落ちるまで調べて理解しておくことが重要です。
例えば、東京の明治神宮を案内する場合、一般的な情報はネットやガイドブックなどで得ることができますが、下記のような本でより深く学ぶことにより、ガイド時の説明により厚みを加えることができるでしょう。
明治神宮―「伝統」を創った大プロジェクト 新潮社
明治神宮という「伝統」を経済人、政治家、建築家、造園家、青年奉仕団など多くの人々が関わって作り上げた壮大な物語。
明治神宮の創設には、日本の伝統だけではなく、ドイツ森林学など近代西洋の知見も活用されているなど、あまり知られていない多くの知識を得ることができる本。
私は本による知識の習得と現場での実践を繰り返し行うことによって、通訳ガイドとしての知識と説明のスキルを高めてきました。
今後の記事では、私が通訳ガイドとして知識を深めるために読んできた本を紹介していきたいと思います。
※ブクログ(web本棚サービス)に私の読みたい本・読んだ本を登録しています。
よろしければこちらもご参照ください。