こんにちは、Akiです。
建築好き通訳ガイドの視点から、建物の魅力について紹介しています。
今回は沖縄最大の都市・那覇市中心部の建築についての記事(その2)です。
那覇市のメインストリート「国際通り」とそれに隣接する官公庁街は、那覇の顔ともいうべき場所で、大型の建築が立ち並び、有名建築家が手がけた建物もあります。
前回の「沖縄県庁舎行政棟」に続いて、その隣にある「那覇市庁舎」をご紹介します。
なお、私と沖縄の関係ですが、初めて沖縄を訪れたのが1985年。以来、本土にはない沖縄が持つ独特の雰囲気に魅了され、旅行者として毎年のように通っています。
那覇市庁舎
沖縄県庁の隣に立つ那覇市庁舎は、2012年に竣工した地上12階・地下2階、高さ54.42mの建物です。
那覇市内でもひときわ目をひくユニークな外観は、各階をルーバーのような柱が取り囲んでいます。低層部は階段状になっていて、その屋上は緑化されたバルコニーになっています。
那覇市庁舎のコンセプトは「緑あふれる庁舎」。花と緑にあふれたまちづくりを進める那覇市の庁舎にふさわしいように、建物全体が花と緑に取り囲まれ共生しているようです。
建物の外壁を含め敷地内には、 沖縄にふさわしくホウオウボク、フクギ、ハイビスカス、ブーゲンビリアなど南国特有の個性的な植物を約90種類も植えてあるそうです。
建物の外壁に緑を配することで、直射日光をさえぎり、内部の温度上昇を抑えて省エネ化につながっています。また、植物による温室効果ガスの削減にも貢献しているそうです。
建物に入って1階のフロアは一般的な市役所とあまり変わりのない窓口が並ぶ空間でしたが、植物が多かった印象があります。上層部分の中央は中庭の吹き抜けになっており、その空間を囲む建物の外壁にも緑が配されています。
設計は沖縄の建築家・国場幸房(こくばゆきふさ)氏。国場氏は早稲田大学建築学科卒、大高正人氏の建築事務所で学んだ後、沖縄の建築設計会社「国建(くにけん)」で「ホテルムーンビーチ」(DOCOMOMO JAPAN選定「日本におけるモダン・ムーブメントの建築208選」)、「沖縄美ら海水族館」、「沖縄県公文書館」など戦後の沖縄を代表する多くの建築を手がけました。
大高正人氏は日本近代建築の巨匠・前川國男氏に師事し、日本発の建築運動「メタボリズム」を提唱したメンバーのひとりです。国場氏もメタボリズム隆盛の時代に大きな影響を受けたことを回想しています。
国場氏の回想記には当時のエピソードなどが描かれ、読み物として興味深いです。
「沖縄ん建築紀伝 国場幸房(建築家)」 株式会社国建ウェブサイト
那覇市庁舎は、沖縄の建築を紹介した書籍「沖縄島建築」でも、ぜひ訪れてほしい建物のひとつとして紹介されています。
那覇市庁舎 データ
所在地:那覇市泉崎1丁目1番1号
構造:RC造 地上12階 地下2階 塔屋1階
設計者:国場幸房(国建)
建設:國場組
竣工:平成24(2012)年