こんにちは、通訳ガイドのAkiです。
私は通訳ガイド・個人事業主としての活動にITを積極的に活用しています。
その実践に基づいた具体例を紹介しています。
今回は、通訳ガイドの必需携行品ともいえるモバイルバッテリー(portable charger)について、その選び方とおすすめの製品をご紹介します。
私はガジェットが好きで、モバイルバッテリーもいろんな種類のものをつい買ってしまっています。
この記事は、それらの実使用経験をもとに書いています。
目次
モバイルバッテリーは通訳ガイドの必需携行品
通訳ガイドの仕事では、エージェントやホテルなどとの連絡、行先の場所や経路の確認、そして写真撮影などに、スマートフォン(以下スマホ)は必需品となっていますよね。
ガイド中にスマホが電池切れになってしまう、という最悪の事態は避けたいものです。
出かける前、スマホがフル充電に近い状況であれば、その日は何とか大丈夫かもしれませんが、充電が不十分なままガイドに出かけてしまった、あるいはガイド中に頻繁にスマホを使用してバッテリーが切れる、という場面もあることと思います。
また、お客様のスマホのバッテリーが切れるという経験をされた方も多いと思います。
スマホの利用シーンの中でも、特に写真撮影はバッテリーを消費しますので、写真をたくさん撮られるお客様のスマホは、早くバッテリー切れになることがあります。
以上のような場合に備えて、スマホを充電できる「モバイルバッテリー」を携行しておくと安心です。
モバイルバッテリーの選び方
では、通訳ガイドの仕事にはどのような「モバイルバッテリー」が適しているのでしょうか。
Amazonなどのオンラインショップや家電量販店は、モバイルバッテリーの品揃えが多くて、どれを選べばよいのか迷ってしまいますよね。
私がモバイルバッテリーを選ぶ際に気をつけているのは、「容量」、「重さ」、「充電速度」と「信頼性」です。
各種の製品を使用してきた経験から、私がおすすめできるのは、Anker(アンカー)というメーカーの容量5,000~10,000mAhの製品です。
以下、具体的にモバイルバッテリー選びのポイントを解説していきます。
最後に具体的なおすすめ製品をご紹介していますので、解説を読むのが面倒な方は、最後の部分だけ見ていただければと思います。
容量
モバイルバッテリーの「容量」というのは、どのくらいの電気をスマホなどの機器に充電できるのか(またはどのくらいの電気を貯めておけるのか)、という性能を数字で表したものです。
「容量」は製品のパッケージやカタログなどに「mAh」(ミリアンペアアワー)という単位で、5,000mAh、10,000mAh、20,000mAhなどと表示されています。
この数字が大きいほどスマホを充電できる回数も増えてきますが、それと比例してモバイルバッテリーのサイズが大きく重くなっていきますので、容量とサイズのバランスを考えて選ぶ必要があります。
実際に利用できる容量は、充電時に電力損失などがあるため、製品のスペック(仕様)として表示されている数字の約60~70%ほどとなりますので注意してください。
表示「容量」が5,000mAhのものだと、実際の「容量」は約3,000~3,500mAhとなります。
一方、スマホの内臓バッテリー容量は、3,000mAhほどのものが多いです。
例えばiPhone 11(内臓バッテリー容量3,110mAh)の場合だと、表示「容量」5,000mAh(実「容量」約3,000~3,500mAh)のモバイルバッテリーで、約1回充電することができます。
これは、iPhoneのバッテリー残量20%の状態から100%まで充電しても、モバイルバッテリーの容量にはまだ少し余裕がある状況です。
ガイド時にスマホが1回充電できれば十分という場合は、容量5,000mAhのモバイルバッテリーがあればよいでしょう。
また、表示「容量」10,000mAh(実「容量」約6,000~7,000mAh)のモバイルバッテリーでは約2回充電することができます。最近はこの10,000mAhクラスの製品が主流になっており、メーカーの品揃えも豊富です。
さらに容量が大きいほうが安心という場合は、10,000mAhの製品が選択肢となります。
iPadなどタブレットの場合は、スマホよりも大きい容量が必要となります。
例えば、iPad(第6世代:内臓バッテリー容量8,756mAh)の場合、10,000mAhのモバイルバッテリーだと約0.7~0.8回分の充電が可能です。
ただ、通訳ガイドの仕事においてスマホを主に使用している状況では、タブレットをフル充電する場面はあまりないと思います。
スマホとタブレット両方を持ち歩く場合でも、容量10,000mAhのモバイルバッテリーで主にスマホの充電に使用し、必要に応じて残った容量でタブレットを充電するという使い方でよいのではないでしょうか。
私はガイド時にスマホとタブレット両方を持ち歩いておりますが、タブレットの用途は主に資料や写真を見せることですのでバッテリーの消費は少なく、容量10,000mAhのモバイルバッテリーで事足りています。
大きさ・重さ
通訳ガイド時は、ただでさえ携行品が多いので、モバイルバッテリーもできるだけ小さくて軽いものを選びたいものです。
モバイルバッテリーの大きさや重さは、容量とのトレードオフになるので、自分の利用状況から、どちらをより重視するかの判断が必要になります。
例えば、容量が5,000mAhのモバイルバッテリーだと重さは約100~150gほど、10,000mAhだと約180~250gほどで、1日中持ち運ぶ場合はかなり違いを感じます。
さらに容量が大きい20,000mAhのものもありますが、重量が約350gとかなり重くなり、ガイド時に持ち運ぶのはかなり厳しいと思います。
サイズも容量に応じて大きくなりますが、5,000mAh~10,000mAhだとクレジットカードサイズのものが多いです。
厚みを薄くしたスリムタイプもありますが、サイズはその分大きくなります。
充電の速さ
ガイド中にスマホのバッテリーが少なくなったとき、お客様の目の前でモバイルバッテリーを取り出して充電するというのはなかなかやりにくいですよね。
スマホの充電は車や電車での移動など、ちょっとした時間にできるだけ素早く行いたいことがあると思います。
その点では、なるべく充電が速いモバイルバッテリーを選んでおきたいものです。
モバイルバッテリーからスマホへの充電速度に関係するのは、「充電出力」と「充電規格」です。
話が難しそうですが、モバイルバッテリーのパッケージなどに表示されている情報ですので、どこを見ればよいのかをご説明していきます。
充電出力
充電の「出力」は、どれくらい多くの電力(電気)をスマホに出力できるかという能力です。
W(ワット:電力)やA(アンペア:電流)などの単位を使って数字で表示されています。
例えば、Amazonなどで製品の情報を見ると、「最大20W出力」とか「出力:5V=3A / 9V=2.22A」といった具合に表示されています。この数字が大きいほど、スマホへの充電は速くなります。
スマホやタブレットの充電には、一般的には「出力」と表示されている5V(ボルト:電圧)=の数字が2.4A(アンペア:電流)以上だと充電が速いといわれています。
ちなみに、V(ボルト:電圧)とA(アンペア:電流)の数字をかけ算したものが(ワット:電力)で、これも充電速度の目安となります。
5V=2.4Aの表示だと、5V×2.4A=12Wの出力になります。
これ以上の数字のモバイルバッテリーを選んでおけば充電速度は問題ないでしょう。
充電規格
モバイルバッテリー製品の情報で「USB Power Delivery(USB PD)」、「Quick Charge(QC)」などと表示されているものが急速充電の「規格」です。
それらの規格に対応したモバイルバッテリー(ケーブルも対応が必要)とスマホ・タブレットなどの間では、急速充電を行うことができます。
「USB Power Delivery(USB PD)」はiPhone(8以降)・iPadとAndroid、「Quick Charge(QC)」はAndroidが対応しています。
通訳ガイド用にモバイルバッテリーを選ぶ場合、充電規格はあまり意識しなくてもそれほど問題ないと思いますが、より速く充電したい場合は充電規格をチェックしておくとよいでしょう。
ケーブルやスマホ・タブレットなどの機器がその規格に対応していなければ急速充電はできないので注意が必要です。
私は新規にモバイルバッテリーを購入する場合、「USB Power Delivery(USB PD)」対応製品を選んでいます。
USB PDは最新のUSB規格「USB Type-C」に対応していて、パソコンなどと充電器やケーブルを共用できるので便利です。
また、その他に「ワイヤレス充電」のための「Qi(チー)」という充電規格があります。
ワイヤレス充電は、スマホをバッテリーや充電器の上に置くだけで充電できる方式です。
充電ケーブルが不要なので接続の手間もかからず、とても便利です。
ワイヤレス充電可能なモバイルバッテリーを使いたい場合は、手持ちのスマホがその規格に対応しているかを確認した上で利用しましょう。
iPhoneの場合は8以降がQi規格に対応しています。
その一方、ワイヤレス充電では充電ケーブルを使わないので、充電速度は少し遅くなります。
また、ワイヤレス充電可能なモバイルバッテリーは、通常の製品にはない部品を組み込んでいますので、その分だけ重くなります。
信頼性(メーカー)
信頼性でチェックしておきたいのは「安全性」です。
モバイルバッテリーは、小さな本体に大きなエネルギー(電力)を蓄えています。過去にはモバイルバッテリーが発火した事故が発生しています。
事故の原因はさまざまですが、製造不良や、外部からの強い力などで、バッテリー内部が破損して、異常な電流が流れて発火につながる場合が考えられます。
特に、あまり名前の知られていないメーカーの安価な製品は、製造上の問題や、安全対策が不十分である懸念があります。
モバイルバッテリーを選ぶ際には、信頼できるメーカーの製品を選びたいものです。
例えば、Anker(アンカー)というメーカーは各種の保護機能を組み込んだ製品を販売しており、ホームページで安全についての情報を積極的に発信しています。
Amazonなどの製品ページにも保護機能を使用していることを掲載していますので、モバイルバッテリーを選択する際は、そういった情報をチェックし、できるだけ安全なメーカーの製品を選ぶようにしましょう。
なお、日本国内では、2019年2月1日以降はPSEマーク(電気用品安全法の基準に適合する電化製品に付けられるマーク)表示のないモバイルバッテリーは、製造・輸入および販売ができないようになっています。
PSEマークの有無も確認しておきましょう。
おすすめの製品
最後に私のおすすめする、通訳ガイド時に携行したいモバイルバッテリーをご紹介します。
モバイルバッテリーのリーダー的メーカーであるAnker(アンカー)の容量5,000mAh、10,000mAhの製品からピックアップしました。
Anker(アンカー)とは、元Googleのエンジニアが創業したメーカーです。
高性能で信頼性が高い製品を手頃な価格で提供し、幅広いユーザーから支持を得ています。デザイン的にもよいものが多いです。
容量5,000mAh
小型・軽量タイプ
「Anker PowerCore III 5000」
容量(5,000mAh):〇 重さ(約113g):◎
充電速度(USB-A/Cとも5V=2.4A):〇
クレジットカードサイズで厚みも1.4cm、重さ約113gと小型軽量の製品です。
USB-A(従来型)、USB-C(最新型)の2種類のポートがあり、出力はUSB-A/Cともに5V=2.4Aで、充電は速いと感じられるでしょう。
充電器一体タイプ
「Anker PowerCore III Fusion 5000」
容量(4,850mAh):〇 重さ(約176g):〇
充電速度(USB-A:5V=2.4A, USB-C:5V=3A):◎
モバイルバッテリーと充電器が一体となった製品です。モバイルバッテリーの充電用に別に充電器を買う必要がなく、コンセントに差すだけで簡単に充電できるので便利です。
一方サイズは少し大きく、厚みが3cmあり、重さも約176gとずっしりと感じられるかもしれません。
USB-A(従来型)、USB-C(最新型)の2種類のポートがあり、出力はUSB-Aが5V=2.4A、USB-Cが5V=3Aで、充電は速いと感じられるでしょう。
容量10,000mAh
小型・軽量タイプ
Anker PowerCore 10000
容量(10,000mAh):◎ 重さ(約180g):〇
充電速度(USB-A:5V=2.4A):〇
2016年2月発売のロングセラー製品です。クレジットカードサイズで重さ約180gは、容量10,000mAhのモバイルバッテリーの中では、最も小型軽量な部類に入ります。
ポートはUSB-A(従来型)のみで、出力は5V=2.4Aと充電は速く感じられるでしょう。
以前、ガイド時にお客様のスマホのバッテリーが切れた際、このモバイルバッテリーで充電したところ、お客様から「これ充電速いね」といわれたことがあります。
コストパフォーマンスもよく、間違いのない定番製品です。
スリムタイプ
Anker PowerCore Slim 10000 PD 20W
容量(10,000mAh):◎ 重さ(約212g):〇
充電速度(USB-A:5V=2.4A, USB-C:5V=3A):◎
容量10,000mAhクラスで、薄くてスリムなデザインのモバイルバッテリーを探している人におすすめの製品です。
重さは約212gと少し重いですが、薄型でスマホと同程度の大きさですので、スマホと重ねて同時に持ちやすくなっています。
USB-A(従来型)、USB-C(最新型)の2種類のポートがあり、出力はUSB-Aが5V=2.4A、USB-Cが5V=3Aで、充電は速いと感じられるでしょう。
イヤホン等の小型電子機器に適切な電流で充電することができる、低電流モードが搭載されており、いろいろな機器に確実に充電することができます。
ワイヤレスタイプ
Anker PowerCore III 10000 Wireless
容量(10,000mAh):◎ 重さ(約243g):△
充電速度(USB-A:5-6V=3A, USB-C:5V=3A, ワイヤレス:5W/7.5W/10W):◎
ワイヤレス充電に対応した製品です。充電ケーブルなしで手軽に充電できて便利です。
重さは約243gと、ずっしりと感じられます。
USB-A(従来型)、USB-C(最新型)の2種類のポートがあり、出力はUSB-Aが5-6V=3A、USB-Cが5V=3Aで、充電は速いと感じられるでしょう。
ワイヤレス出力も最大10Wで、実際に使用したところではストレスを感じない充電速度です。
多少サイズや重さが大きくても、ワイヤレス充電を使いたい人におすすめの製品です。
ただワイヤレス充電は、スマホとモバイルバッテリーが動かず重なっている必要がありますので、ガイド中の使用はあまり現実的ではありません。
充電ケーブルも同時に持ち歩き、状況に応じて有線/無線(ワイヤレス)充電を使い分けるとよいでしょう。
おわりに
モバイルバッテリーがあると、スマホの電池切れを心配しなくてよいので心強いですよね。
スマホの充電を忘れて出かけても、いつでも充電できる安心感があります。
また万が一、地震などの自然災害や、何らかのアクシデントに遭遇した場合でも、スマホの使用時間を延ばすことができるので、防災用品としても役に立ちます。
ただ、モバイルバッテリーにも寿命がありますので注意が必要です。モバイルバッテリーの充電に時間がかかるようになった、スマホへの充電中にすぐバッテリー切れになる、など、充電性能が落ちてきた場合は、予備のモバイルバッテリーを用意しておくと、いざというときに安心です。